この場所にあるのは好意だけだ−石巻専修大学ボランティアセンター
初日の夕方、石巻専修大学のボランティアセンターに向かった。石巻地域のボランティアのメッカである。駐車場の一角にとても大きな倉庫があり、作業用一輪車、土のう袋などが整然と置かれている。私たちは、寄付された自転車を4台届けた。
ミーティングは夜7時半に始まった。専修大学の一室に100人を越える人が集まる。20代から40代くらいが主だろうか。男性が約8割を占める。
正面に置かれたホワイトボードには、炊き出し、マッドバスターズ(泥出し)、リラクゼーションといった活動ごとに関わる団体が書かれ、その日の活動と参加人数を報告するという形で会が進行する。会の終わり近く、一人の女性が声を上げた。虫が出てきているので「支援者の支援」として殺虫剤を配るとのことだった。
「この場所にあるのは好意だけだ」と思った。そして、ここにいる人々の向こうで、日々、もっとたくさんの人が動いている。彼らは本当に多くのことを成し遂げてきた。石巻市街地の瓦礫はたった1ヵ月半できれいになくなった。
「誰かを助けたい」というとてもシンプルな思いからはじまって、具体的に人を助ける。NPOや社会的企業とつながる発想だ。「自分だけ」のためではなく、人や社会を自然に思ってしまう気持ちから発想して、活動していく。もしかしたら、自分の中から湧き出てしまう、隣人を思う気持ちのままに助け合って生きていくことが、生活していくことが可能かもしれない。
遠い宮城で、自分の進みたい道を照らす、小さな光を見つけた。